なれんのか!? かなっぷのAAフライト。


第24話『数字から読み取れること』の巻


何気なくダーツライブのページを見てて気付いたことがある。
ああもう7年近くダーツライブやってんだな、と。

その間、幾度となくカードを紛失してきたが、その度にひつこくデータを引き継いだ。
特に深い意味はないが、リセットしてしまうのもなにか勿体ない気がして。
おかげでカードには7年間の長きに渡る死闘(?)の痕跡が記録されている。

改めて、数字の羅列を眺めてみる。
そこに記録されていたのはダーツの成績だけではなかった。
数字と一緒に、様々な記憶が蘇ってきた。

<現在のAWARD 累計>

3 IN THE BLACK : 6回 (うちケルヴィンが1回)
TON 80 :18回 (うちケルヴィンが1回)
WHITE HORSE : 11回
HIGH TON : 37回
3 IN A BED : 40回
HAT TRICK : 1059回
LOW TON : 6325回
9 COUNT : 42回
8 COUNT : 17回
7 COUNT : 401回
6 COUNT : 599回
5 COUNT : 1298回
DOUBLE BULL : 6079回
SINGLE BULL : 28904回

以上。

ケルヴィンというのは、昔BAT DARTSに夜な夜な通い詰めていたマレーシアの人。
帰りの電車が同じだったので、BAT終わりで、よく一緒に帰った。
日本語はそんなに得意じゃなくて、でも日本語で会話をした。
それまでは東南アジア系の外国人というと悪事に手を染めているとか、あまりよくないイメージを持っていたけれども、そういうのは一切なく、ちゃんと仕事もしていて性格も控えめで、ダーツも強くて、俗にいう『いいひと』だった。
「かなっぷ、ガンバッテ」なんて電車の中でよく励まされた。

まだダーツがそんなに上手くない頃の話(今も上手くはないけど)です。
当時はTON80もブラックも出したことがなかった。
ダーツライブのアワードの回数もしばらく『0』のままだった。
そんな話をしたら、ケルヴィンがいつの間にかヒトのカードを使ってダーツを投げていた。
そしてTON80とブラックを出しちゃったのだ。
ケルヴィンは「出ちゃった」と言いながら笑っていた。
それが悪戯のつもりだったのか、優しさだったのか、よくわからない。
「おいー!」と大袈裟なリアクションはとったけれど、別段気にはしなかった。
しばらくすると、TON80もブラックも出せるようになったから。

ある日、ケルヴィンは捕まってしまった。

不法滞在、オーバーステイ。

多分ビザの更新か申請を怠っていたのだと思う。
きっちりしなくちゃならないことではあるんだけど、なんともやりきれない。
そのまま一度も会うことなくマレーシアへ強制送還。

一度だけ、ペナンからBAT DARTSに電話がかかってきたことがある。
国際電話だし、要領を得ない内容だったけれども、なんだか元気そうだった。
「今度遊びに行く」としか言えなかった。

ダーツライブのカードには、今もこうしてケルヴィンの足跡が残っている。
やっぱり蓄積してあるデータをリセットするのはやめようと思う。

元気かな、ケルヴィン。
ぼくは相変わらず元気です。

続く……


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