エピソード42『プロジェクトうねックス 〜挑戦者たち〜 中編』


「うねぇックス……」←プロジェクトX風に。


『うねり』Silverクラスの予選は、2店舗8つのグループでラウンドロビンを行う。

各グループの二位までがベスト16となり、決勝トーナメントへ進出。
そのまま各店舗で行われる決勝トーナメントの一回戦に勝利すると、ベスト8。

そこで初めて、聖地ロスカボスへと移動できる。




……2008年6月1日午後12時30分。

すでにウォーミングアップは完了し、店内にはPerfumeが流れていた。
みっちー&かなっぷ、二人の男は、万全の態勢で『うねり』の初戦を迎える。

01づくし、と銘打たれた今回の『うねり』。
silverクラスの試合形式は、701マスターアウトの3レッグ勝負だった。

だが、試合直後から、思わぬ事態が発生した。

準備は万全だったのにも関わらず、かなっぷのダーツが思い通りに刺さってくれない。

みっちーが順調にブルを確保する一方、かなっぷはノーブルを続けた。
普段はフラフラしているかなっぷも、さすがに焦りを見せ始める。

「なんじゃらばー、ぶわっ、ぶわっ」

壊れかけのかなっぷを放置し、試合は進行する。

幸いなことに、相手も初戦の緊張からか、同レベルの戦いを繰り広げていた。
展開の有利が、めまぐるしく入れ替わるシーソーゲーム。

そして、かなっぷのターンが再びやってくる。

701から始まり、すでに残すは103だった。

かなっぷは思った。
ここはとにかく一本でもいいからブルに入れよう、と。
ノーブルで終わることだけは、どうしても避けたかった。

1本目、ようやくブルに入った。残すは53。

2本目、アレンジして3シングル。残すは50。

3本目、またブル。

奇跡だった。

あれだけブルが入らなかったのに、初めてのブルが100点以上のフィニッシュ絡み。
見事なLOWTONあがり、ハイオフというヤツである。

「0にすることだけを考えてブル残しにしたら、最後も入っちゃった、やっぴー」

コメンタリーはアホだけど、ここから、彼のフィニッシャーとしての能力が開花することになる。

その後は、2ndレグを相手に取られ、1対1のイーブン。
勝負は最終レッグに持ち込まれた。

迎えた最終レッグ。
かなっぷはここでもブルが思い通りに狙えなかった。
しかし、フィニッシャーとしての能力を発揮し、無事にフィニッシュ。

初戦は2−1の辛勝。
しかし、みっちーがTONやHATで点数を削り、かなっぷがキッチリ0にする。
その後の試合展開を左右する役割分担が、この時すでにできあがっていた。




二戦目。
試合までの待ち時間の間、みっちーとかなっぷと『Bar ACQUA』のスタッフRABIさんは、Perfumeについて語った。

「やっぱ『かしゆか』最高」

「『のっち』から入って、最終的に『かしゆか』に落ち着くのが定石らしいっすよ」

「あれ、『あーちゃん』は?」

「だから、『あーちゃん』はすっぴんが可愛いの!」

「あと、喋りが面白い」

「そうそう……」

ダーツとは無関係な意気投合。
そのせいかどうか知らんけど、二戦目は2−1で負けてしまった。

最終レッグはなんとか奪取し、辛くもストレート負けだけは避けた。
ちなみに、そこでもフィニッシュはかなっぷであった。

これでとうとう一つ負けがついてしまい、戦況的にも精神的にも負担が大きくなった。
もしかしたら、他の2チームが抜け出て、予選敗退かもしれない。
二人の脳裏を、最悪の結末が過ぎる。




その後、長い長い待ち時間を経て、三戦目がやってきた。
いよいよラウンドロビン最終戦だ。

戦況はといえば、四組中三組がもつれ、この直接対決を勝てば、なんとか二位通過できる。
ここは死んでも勝たなくてはならない。

ところが、気合いが空回りしたのか、1レグ目を相手に取られてしまう。

続く2ndレッグも、相手有利のまま進行していく。

絶体絶命。

もう死んだ。

ロスカボスへの道は閉ざされ、優勝は夢と散った。
かなっぷは、そう思って絶望した。

ところがである。
両チームともグダグダになり、701を15ラウンドであがれなかった。
なんという結末。

こういう場合、どうなるのか。

なんと、コークでそのレッグの勝敗が決するという不思議なルールだった。

あろうことか、みっちーはそのコークをさらっと適当に投げやがった。
そしてブル外しやがった。

オウシット!
なにしてくれとんじゃぼけかすロン毛!

と、怒鳴りかけたその時、相手はさらにその外側へ外した。

「うおお! アブねええ!」

2ndレッグをコークで奪取した瞬間だった。
首の皮一枚つながる、とはまさにこういうことである。

こういう奇跡に近いことが起こると、場の流れはみっちー&かなっぷ組に傾く。

崖っぷちからの生還。
そして逆転。
すべては必然。
シナリオ通り。

漫画の『賭博◯◯録 カイジ』で読んだ台詞がフラッシュバックしながら、続く最終レッグも華麗にフィニッシュ。
2−1で、なんとかかんとかギリギリの勝利。

こうしてみっちー&かなっぷは、グループ中の二位。
ベスト16が確定した。

ロスカボスまであと1勝である。




もはやこうなると、勢いまかせだった。

間もなく始まった決勝トーナメントの1回戦。
相手は別グループの1位通過チームだったが、ここをストレート勝ちで撃破する。

最後はフィニッシャーかなっぷ炸裂。
残り93を57(19T)、36(18D)で華麗にフィニッシュ。

「Aフラどころか、AAみたいでしたね……あの時は」

で、できる!
俺、できる子だあ!

なんて自画自賛しつつ。

一時は敗退の予感から、偏頭痛がした。

このまま負けたら、BAT"DARTSスタッフを始めとする一族郎党から、再び小馬鹿にされ続けるに違いない。
もういい加減、三十路だというのに……。
そんなのヤダい!

負けてなるものか。
その執念が実ったのである。

こうして、二人の男は、いよいよ聖地ロスカボスへと展開するのだった。

To be continued...


本日の腕前:Rt.7.40 ↑↑(DARTS LIVE)Bフライト
本日の一言:「長っ……」
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