第5話『ダーツとキャバクラ』の巻
なんか最近、みんなから『キャバっぷ』と呼ばれるようになった。
キャバクラが三度の飯より大好きで、果ては『キャバクラに住んでいる』とか、ない話をねつ造されまくっている。
ケンシローなんか、アワードメッセージに『昼キャバだめヨ』と登録してあって、ロートン出される度に「行ってねーつのっ!」と突っ込まねばならぬ。
いったいなんのあてつけだというのか、意味がわからない。
ツイッターでは当たり前のように『キャバっぷ』が登場するから、本人を知らない人が見たら「きっとこいつキャバクラ好きなんだな。公言されちゃっても問題ないくらい」と思われてそうで嫌だ。
店頭に立っていると「お会計5000円です、とか言ってっけど、実はキャバクラ好きなんだよ、あの人」とか裏で言われてそうで嫌だ。
キャバクラは人生で三回くらい(二回かもしれない)しか経験がない。
語呂だけで面白がり、ついでにそういうキャラに仕立てようと企む悪いヤツが世の中にいるのだ。
おのれ、悪いヤツめ。
ところで、キャバクラにはダーツマシンて置いてないよね。
まあ、あるところにはあるんだろうけど。
本来、酒と女子とのトークを楽しむところ(というイメージ)なので、ダーツで盛り上がる楽しみ方とはちょっと違っていて、合いにくいのかもしれない。
そうすると最近よくあるガールズバーにダーツってのがわけわかんなくなる。
ガールズとどうやってダーツすんのか。
好みのタイプじゃなくて、そんなにうまくなかったらボコボコにしていいのか、とか。
好みのタイプじゃなくても、こっちが気を遣った攻め方をするべきなのか、とか。
そもそも、キャバクラとガールズバー(行ったことない)の違いが、料金とシステム以外によくわかんないしね。
あと、ハプニングバーにダーツてのが面白いらしいという噂ですけど。
話を伺った限りでは、その楽しさがアダルティック過ぎてついていけません。
その昔、若かりし頃。
飲み会(いわゆる合コンです)を開催したわけですよ。
そしたら、女の子たちがほぼ全員キャバ嬢のプライベートバージョン。
男たちは「おめ―これどーすんだバカ、こっちがその道のプロをどーやって楽しませるんだ」と心配し、怯んでおりまして。
しかし、心強い味方があったわけです、その場には。
そうです、例のアレ。
ダーツマスィーンです。
ダーツのおかげで現場は異様な盛り上がりをみせまして。
純粋にダーツとお酒をこれ以上ないっていうくらいに楽しんだ。
男女の仲とかお互いの好みのタイプだとか、一切無視。
ダーツ投げて、負けたらテキーラ飲んで、ワイワイ騒いだ。
なんだよダーツ、素敵すぎるじゃねえかよ。
そして宴は大盛り上がりのまま解散した。
が、なぜか帰り道、虚しかった。
我々男たちは口々にこう言った。
「なんかあれだね。そういうお店に行ったみたいだったね」
相手を楽しませよう楽しませようと努力した結果、逆に楽しまされてた(?)。
まるで、お釈迦様の掌の中から出られない孫悟空、間抜けな我々。
なんかあれだ。
プロってすごいな。
っていう話でした。
ダーツもキャバクラも。
続く……